2010年3月26日金曜日

[バイク] Pazzoタイプ アルミ削り出しレバーセット

カスタムパーツの装着・使用は自己責任でお願いします




eBayで買ったPazzoコピー品

長くなりそうなのでまずまとめから。
本文と詳細はまとめより下に書きます。
ちなみに今回購入したPazzoコピーは装着後試走しましたが、
純正品は展示車両に装着されているショートレバーを弄っただけで
走行したことありません。


-------------------まとめここから-------------------------
●トライアンフ純正 調整機構付きビレットレバーセット:
・価格 約 30,000円
・材質 ほぼ間違いなくA7075(超々ジュラルミン)か相当品
 以下カタログから引用
 『航空機などに使用するアルミニウムをCNC加工し、
  アルマイト仕上げを施した』(以下略)
・可動部分はベアリングを採用するなど、非常にカッチリしている
・各部品が精密に設計、作成されており高級感がある
・ショートレバーでも末端を肉抜きしているが意味があるかは不明(後述)
・形状、構造からしてTITAX製に酷似
・トライアンフのロゴプリント付き

●香港製Pazzo Racing Leversコピー品
 ZX6R('05~'06)用のレバーがポン付け可能
 ショートレバーはこちらロングレバーはこちら本家はこちら
 同じ出品者から探せば別の色もあります。
・価格 eBayで購入、送料込みで約 5,000円
・材質 A7075製
・純正ビレットレバーと比べるとチープさが漂うが、知らなければ分からないレベル
・作動感は普通。
 純正ビレットレバーよりも可動部の遊びが多く、カッチリ感では劣るが普通に使える
・各パーツの摺動部はあまりグリスが塗布されていないため、バラしてグリスアップ推奨
・コストダウンの塊かとおもいきや、意外なことに低頭キャップボルトを使っている
・キャップボルトはピボット部分を含め全て全ネジなので、
 力が加わった時の噛み込みが心配

以上からビレットレバーを選ぶ時のオススメ

○純正ビレットレバー
 →純正・安心感を求める方、懐に余裕がある方、中国製品アレルギーの方、ディーラーとの付き合いを重要視する方、ディーラーで取り付けてもらう方。(ディーラーで取り付けてもらうなら純正品買いましょう。ただ、レバーの取替えなんて難しくないし、いざという時に役立つので自分でやってみてもいいと思う)

○Pazzoコピー品
 →【前提としてeBayやPaypalを使える(ようになれる)方】、「たかがレバーに3万も出してられっか!」という方、サーキット走るorコケまくるからパーツは安い方がいいという方、別に高級感とか気にしないので普通に使えればいいという方、多少のDIYは自分でやれる方


●ショートレバー
 →指1本がけ~指3本がけまで。
  使う指が少ない分、大きな力が必要なので疲れる。
  しかしエンドボール(末端の膨らみ)に当たることでそれなりにしっかり握れる気がする。
  転倒しても破損しにくい。
  「4,5回コケたけど先っちょが擦れただけで済んでるぜ!」という話を聞いたことがある。
  ブレーキングの際にブリッピングがしやすい。
  
●ロングレバー
 →指1本がけ~指4本がけまで。
  指4本掛けは少ない力でかけられるため、しっかりかけられてしかも楽。
  クラッチは渋滞などに巻き込まれた時などロングレバーの方が圧倒的に楽。
  転倒すると高確率で破損する。
-------------------まとめここまで-------------------------




最近純正品に追加された、アルミ削り出しの調整機構付きレバーが大流行みたいだね。
売れすぎてバックオーダー抱えてるとか。
注文数が多いのか、それとももとの在庫や入荷数が少ないのかわかりませんが。
自分はJack Lilleyとかのサイトをたまに巡回してたので、
以前から出てたのは知っていたのだけど、こんなに話題になってるとは知らなんだ。

で、驚いたのはその値段。
調べたところ、ブレーキレバーとクラッチレバーのセットで約30,000円。
Jack Lilleyでは同じ品が119.14英ポンド、
1英ポンド=150円と高めに見積もっても約18,000円。
悲しいかなこれが舶来品の運命なのである。
個人輸入する手間を省いて、しかも安心して買えるというメリットはあるけどね。


antlionのアルミ削り出しレバーを買って使ってはいたが、
純正レバーのパーツを流用しないといけなかったので予備用にはならず。
ちょうどレバーが欲しいと思っていたところなのだ。
しかし、純正レバーの値段でさえ高く感じるのに、
一度の立ちゴケでポッキリいくかもしれない代物に3万も出せねえよ!
と甲斐性なしのポン吉は思ったのでした。

で、なんかリアハガーの時と同じような流れで、
Triumph675.netのフォーラム経由でeBayで出品されている商品に行き着いた。


それがこちら。
ショート版ロング版
どう見てもPazzo Racing Leverのコピー品ですな。

余談だが、海外では、いや、少なくともTriumph675.netでは、
Pazzo Racing Leverまたはその類の「多機能レバー」というのが
結構カスタムの定番になっている。


■ 調査
話を戻そう。
このレバーを作成・販売している業者なのだが、
値段からして想像がつくが、中国(香港)の業者である。

中国の製品というと以前ポン吉は痛い目を見ているので、
今回は前回にも増して、ちゃんと事前に調べることにした。
ここがこのレバーについて一番活発に議論されていた海外のフォーラム


で、他のフォーラムも調べた結果、樹形図にすると大体下記のような感じに。

この形式にした時点でもはやネタになってる気がする

もう少し考察。
ざっと調べたけれど、全体的な傾向として、予想はついていたがやはり「中国産」という時点で反発する人が結構いた。
一方で、購入して実物を手にとっている人、実際に使用している人は「これ値段の割にいいね」「悪く無いよ」という人がほとんどだった。

どこを見ても最終的に反対派・批判派の元気がなかったのだが、
実物を見ていないのに理論を展開しようとするので、
全く関係ない、もしくは根拠のない話になってしまい、
結果的に筋の通った説が殆ど出てきていなかった、というところが大きい。
個人的にはもっと納得させてくれる反対派の説を期待したのだが。


ところどころで材質の品質について議論されている。
(低価格=低品質な材料or価格の安い別の材料を使っている、という説)

これについては、一例としてこちらを参考にしていただきたい。各種金属素材等の小売店だ。
例えば板材のA7075で30*40*200(mm)と入れてみる。
このサイズならロングレバーを削り出しで一本分作るのに十分な大きさだろう。
切り詰めればもっと小さくなると思う。
これで割り出した単価は3,904円。
数量を100にしてみる。単価2435.44円になる。

「超々ジュラルミンって意外と安い」と思う人が多いんではなかろうか。
小売でバラの100個、その上物価が高い日本でこの値段なのだから、
物価の安い現地で直接業者から多ロットで購入すれば
グッと単価が下がるのは明白だろう。

人件費は比べものにならないくらい安いし、そもそもコピー品なので開発費もいらない。
せいぜいコピー元から採ったデータをマシニング機に入れるくらいだろうか。
バイク用品ということで、販売先も海外がメインだろうから、
eBayを通したネットショップというのも合理的、低コスト。

これだけ原価が低ければこの値段も十分実現可能と思える。



で、購入したものがこの画像というわけ。




■ 改造
ただ、「普通に使う以上は大丈夫」と、
(調べた情報による)確信はあっても、(経験による)自信がなかった。

なので、一度バラした上で、不安要素を取り除くことにした。

クラッチレバーをバラした図。意外とシンプルなのが分かる

一番上はバラしていないブレーキレバー。
真ん中左がレバー部分で、右がピボット部。
レバー部の右下、ピボット部の左に見えるのが、
この二つのパーツを繋ぎ合わせているM5*20の低頭キャップボルトとナイロンナット。
その左の赤色のパーツは調整機構のパーツで3個1組。
その左上は調整機構部分を繋ぎあわせているM5*25の低頭キャップボルトとナイロンナット。
ちなみに調整機構パーツの一番下はネジが切ってあるので、
キャップボルトは回して締めて、更にナイロンナットで締める形だ。

バラす際は小さなパーツを無くさないよう注意!
調整機構のついていた部分に小さなバネと金属球がついていたのだが危うく失くす所だった。

画像から、軸となるキャップボルトが全ネジなのが分かるだろう。
回転する上に力がかかるというのに全ネジというのは気持ちが良くない。
ネジ側が尖っているので、レバー側に食い込んでしまう可能性も考えられる。
(実際はほぼ問題ないのだろうけど。精神的な問題です。)




今回用意したパーツはこちら。
左上から、新品のナイロンナット(上)と元のナイロンナット(下)。
その下の輪っかはステンレス製ウェーブワッシャ。
その右は、購入した半ネジM5*25低頭キャップボルト(上)と元の奴(下)。ネジ部16mm。
その更に右は、購入した半ネジM5*20特注サイズ低頭キャップボルト(上)と元の奴(下)。ネジ部6mm。

実はM5*30のものを特注で10mmカットしてもらったもの。
特注のネジはここで購入した。
念のために3本ずつ購入したが、最低限の2本ずつなら送料込み2,000円弱で購入できるはず。



再度組み上げる際は、摺動部(部品同士が擦れ合う部分)にグリスを塗る。
今回は面倒臭がって全部シリコングリスを使ったが、万能グリスなどに比べて乾きやすいので、ブレーキレバーのロッド部分以外は万能グリスなどを使えば良い。


ガタつきを抑えるためにナイロンナットの下にウェーブワッシャを追加した。
これでかなりカッチリした動作感になった。


ブレーキレバーのプッシュロッド差し込み部分。
中の円筒型パーツに凹みがあるのが分かる。
ここにプッシュロッドが差し込まれるようにマスターシリンダーに取り付ける。
表側に見えない場合はパーツをくるくる回して、凹みが表側に来るように。
グリスをしっかり付けておく。

注意したいのは、ダストブーツ(プッシュロッドの根元の蛇腹状のゴムパーツ)は
ゴム製なので、普通のグリスだと侵されてしまう。
他は万能グリスで構わないが、ここだけは必ずシリコングリスを使うこと。



改造したことで、純正ビレットレバーには敵わないがそこそこカッチリした作動感になった。
まぁ一度ポジションが決まってしまえばそんなにしょっちゅう変えるものでもないしね。

実際に装着して試走行したが特に問題はなさそう。
クラッチ側も最近はずっと指2本がけにするようにしていたので特に違和感なし。
むしろ距離を最適に調整できるようになったので、操作感は向上した。
自分の操作がうまくなったような錯覚を覚えた。



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ところで純正ビレットレバーは末端が風を通すように肉抜きされているのだけど、
これは高速走行中に風が当たってレバーが押されるのを防ぐためだったはず。
展示車両を見る限りショートレバーも肉抜きされてたように思うんだけど、
風が当たらない、当たっても押されることが無いだろうショートレバーで
肉抜きする意味はあるんだろうか…

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